配信限定ミニアルバム『IIE311』楽曲解説

配信限定ミニアルバム『IIE311』の試聴用ダイジェストムービーに詳細な楽曲解説を追加しました!

メロディがない曲もあったりするのでなかなか取っつきにくいと思いますが、

この解説を読みながら聴いていただければ、このアルバムのコンセプトが少しはご理解いただけるかと思います。

 

 

 

『IIE311』楽曲解説

 

 

 

「dream after daydream」

 

のほほんとした柔らかな印象のエレクトロニカだが、その裏にあるのは「この平穏な日常がいつまで続くのか・・・」という不安。この日常は白昼夢で、この夢から醒めたら過酷な現実が待っているのではないか。それから逃れようとまた夢を見る・・・。サンプリングされた生活音とボーカロイドによる無機質なハミングが夢と現の対比を表しているが、そのボーカロイドも空気を介して録音するなどして、現実との境界を曖昧にしている。所々に潜ませた存在感が希薄な詩の呟きも、この曲の大切なポイントである。その存在に気づいたとき、終わることのない夢の入り口に立つだろう。

 

 

 

「invisible thorn」

 

目に見えない棘。安全と言われた原子力の、まったく歓迎すべからざる置き土産。セシウム137を題材にした執拗に繰り返されるシンセ音と、ゆっくりとした速度で破壊されて行く人と自然。シンセパートはダイスを使ったチャンスオペレーション(偶然性を利用した作曲法)によりパート数、演奏範囲、音価、持続時間などを決定しているが、それは原子力を人の手では制御しきれなかったことの揶揄である。自然音は非常にゆっくりとした速度で劣化していくが、これはカセットテープに何度もダビングを繰り返し、それらを30秒単位でモーフィングすることで表現した。最後はPCに取り込む際に偶然生じたデジタルエラーにより完全に破壊される。この自然の音があまりに美しく心地よかったため、1ヶ月ほどはテープダビングして破壊するのが躊躇われた。人の罪深さを体現した曲。是非フルバージョンを最後まで聴いていただきたい。

 

 

 

「caged torsion」

 

抑圧された状況の中、湧き上がる創作衝動。破壊からの創造。音楽が生まれる前の混沌とした何かを表現するため、意図的にメロディを排し、各種楽器による無作為な発音で構成しているが、作曲者が最も慣れ親しんだ楽器がピアノなため、レコーディング前のピアノ調律音が唯一の作為ある発音となっている。冒頭のピアノ音はベーゼンドルファー Model.290 インペリアルの拡張された低音弦の最低音をマルチマイクで録音し、再生時にその組み合わせを変えることで位相変化を発生させ、微妙に音色を変えている。裏のテーマとして「創世記」=「神の創造」を潜ませているため、タイトルは「god's creation」のアナグラムになっている。

 

 

 

「キミ 想フ ヨルニ」

 

震災の直後、不意にやってくる余震への不安を掻き消すために生まれた曲。もともとはピアノ+ヴァイオリン+チェロの編成で発表したものだが、最近はピアノソロで弾くことの方が多い。今回は小型マイクを取り付けたiPhoneをピアノ内部に置き、ピアノの発する様々なノイズとのアンサンブルを試みた。ハンマーのゴツゴツとした音、ペダル踏み替え時の重低音、ダンパーと弦が触れ合う瞬間のビビリ、木製アクションの稼動音など、ピアノの内部には普段は切り捨ててしまう音で溢れている。それらがまるで小人のパーカッション隊のように楽曲を賑やかす。このピアノは1970年代のNYスタインウェイだが、他にも新品や100年ものの欧州製ピアノなどで試している。しかし、いずれもピアノ響きとしては素晴らしいものの、ここまで多彩なノイズが出たのはこのピアノだけだった。このノイズの中でひとつだけ「ジュワァァァ」と、フェルトか何かが押し付けられるような音が入っているが、実物では何度やっても再現出来ず、いまもって謎の音である。きっとピアノの精霊の悪戯だろう。

 

 

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